江戸川乱歩『江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼』光文社文庫、2003年
- 作者: 江戸川乱歩
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2003/08/08
- メディア: 文庫
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- 孤島の鬼
- 猟奇の果
- 本作は前半「猟奇の果」と後半「白蝙蝠団」に分かれている。前半と後半で全く毛色が違い、後半には予期せぬ形で明智小五郎が登場する。連載上の問題で物語を引き延ばさざるを得なくなり、前後半に話を分けて後半を明智の謎解き物に変身させてしまったという事情があったようだ。作家って大変だな。尚、本書では「白蝙蝠団」の後に「もう一つの結末」が収録されており、その名の通りアナザーエンディングが書かれている。前半の筋からすると「もう一つの結末」の方がしっくり来る。書きたかったのはこちらなのだろう。「白蝙蝠団」は前半の「猟奇の果」とは別の話と考えた方が自然だという位にちぐはぐな感じがする。(少なくともこの時期の)乱歩は長編が苦手なのだと確信する作品と言える。