ジョルジュ・シムノン『メグレと首無し死体』河出文庫
- 作者: ジョルジュシムノン,横井司,Georges Simenon,長島良三
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2000/08/04
- メディア: 文庫
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本作は推理小説としては「地味」だ。展開のダイナミックさやトリックの奇抜さも特に無く、メグレのヒーロー性が光る作品でもない。運河から上がったバラバラ死体。首だけが見付からない。運河の周りの店をウロウロと聴取して回るメグレと部下。ただ、解説にもある通り、メグレの人間としての姿がありありと描かれている。そして、そんなメグレ警視がカッコイイのだ。気障な訳ではない。特にオシャレな訳でもない。コロンボみたいに「もう一つだけお伺いします」的決め台詞も無い。でも、何だかカッコイイ。昼間から当たり前にワインを飲んで、予審判事とやり合って、奥さんに夕食に帰れないことを電話して。愚痴らず、へこたれず、黙々と捜査を続けるメグレのカッコよさを感じる1冊でした。