大槻ケンヂ『我が名は青春のエッセイドラゴン!』角川文庫

大槻ケンヂの読みだおれ』の文庫化。加筆・修正はあるもののタイトルを変えられると単行本を買った人はきっと困る。ロックバンド「特撮」のボーカリストとしてより今やタモリ倶楽部などでマニアックなトークを繰り広げるオタクタレントの代表格の一人として有名な大槻ケンヂ。本書はそんな彼の少年期の悶々とした日々、そして「特撮」のレコーディング日記を綴ったエッセイ集。
最初にくっついた小編コミック『文豪ボースカ(同一の歌詞で歌った曲がアルバム『ヌイグルマー』に収録されている)』が面白い。ところで大槻の作品は沢山読んだが同じエピソード(特に少年期)が何度も出てくる。本人も言うとおり本当に「何も無い」少年期を過ごしたのだろうと我が身を顧みさせられる。妄想ばかりが膨らむ思春期の根暗少年を赤裸々に語った彼の文章は、思わず笑ってしまう一文が随所に織り込まれてあり電車の中で読むには少々お勧め出来ない。