The Doors - The Doors Are Open

ドアーズ・アー・オープン [DVD]

ドアーズ・アー・オープン [DVD]

ザ・ドアーズのライブ映像と当時の報道を織り交ぜた、ドアーズ活動中に制作された唯一の映像作品。ドアーズとジム・モリソンが行っていたのは彼の言う通り「純粋な表現」であり、政治的な主張をしたり社会問題を批判したりする類の物とは一線を画するべき物だ。だから、と言っていいかは分からないが彼らの詩には白々しさが無い。ただそこにある現実を、その深淵を見つめ続けて生まれた言葉が並んでいるだけだ。ベトナム戦争をはじめとするアメリカの混迷の中でカリスマとして大衆に祭り上げられながらも、大衆が実際に求めているのはスターであり、アイドルなのだ。それらの間には大きなギャップがあり、それがただ詩人で、ミュージシャンでありたかったモリソンを苦しめ、死に至らしめたのではないかと思う。そして現代を振り返った時、彼らが作っていたような音楽は最早死んでしまったのだという悲しい現実を見た気がした。ところで書いてみれば結局ありきたりなジム・モリソン評になってしまったのが心残り。